アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました

みんなにお茶を配り終えたけど、誰も話をしない。たぶん私が話し始めるのを待っているのだと思う。

まずは野田さんとの件を片付けなくっちゃだわ。私はフーっと息を吐き、

「昨夜は野田さんと食事して、その後お酒を飲んだの」

と言った。誠は苦々しい顔をしたけど、他の人は無反応。

「そしたらね、野田さんに襲われちゃったの」

と、大げさにならないよう、わざと軽い調子で言ったのだけど、すごい反応が返ってきた。

「えーっ!?」と母は言い、「何だと!?」と父が言い、「ふざけんなよ!」と誠が怒鳴った。

「大丈夫だから」と、すかさず私が繰り返し言うと、すぐに静かになり、私は話を続けた。

「こちらの吉田君がね、たまたま通り掛かって……」と言ったところで、
「それは、ち……」

と亮が何か言い掛けたので、私は亮の腿をキュッと抓った。

「痛っ」

たぶん亮は、”たまたま通り掛かって”の部分を訂正しようとしたと思う。でも、変装して尾行したなんて話はややこしいだけだから、たまたま通り掛かった事にすればいいと思う。

私に向けた亮の、恨めしそうな視線は無視し、
「助けてくれたの」

と話を締め括った。

「大丈夫だったの? 葉子と吉田さんは」

と母に聞かれ、

「全然、大丈夫。吉田君は柔道の達人だから」
「それは……痛っ」

たぶん亮がまた訂正しようとしたから、また腿を抓っちゃった。

亮は恨めしそうにし、『後で憶えてろよ』と目で言ったと思う。間違いなく。