アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました

出口に向かって歩いていると、”シャチクジ”なるものがあった。クジを引くとシャチの縫いぐるみが当たるらしい。

「これ、やってみるか?」
「うん、やってみたい!」

お金を払い、大きなガチャみたいな中に手を入れ、引いたクジを売り子のお姉さんに渡した。そして、ワクワクしながら待っていたら、

「1当出ました! おめでとうございます!」

と売り子のお姉さんが大声で言い、カランコロンとベルが鳴った。

「やったな、葉子!」
「う、うん」

1当だから、かなりなものだろうとは思ったけど、周囲の注目の中、お姉さんから手渡されたシャチの縫いぐるみは、想像を遥に超えて大きかった。

それを胸に抱えながら歩いていると、

「俺、1当が当たったのって、初めて見た。ほら、みんな驚いてこっち見てるよ」
「そ、そうみたいね」

誇らしくもあり、恥ずかしくもあり、微妙な心境の私だった。

私達は水族館を出て、私の家へと向かった。
その途中、亮は和菓子屋さんへ寄り、手土産用に高価な菓子折りを買っていた。亮って、そういう気遣いが出来る人なんだなあ、って感心しちゃった。