アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました

「葉子って、シャチに詳しいんだな? 俺と同じで、ハマってたりするのか?」
「ううん、テレビとかで見るだけよ」

私は、シャチやイルカ、クジラ、サメ、ラッコなどの海洋生物の、テレビなんかを見るのが好き。もちろん、実際に見れたらもっといいのだけど。

「じゃあ、現物は見た事ないのか?」
「ない。見たいとは思うけど」

「じゃあ、もうすぐ見せてやるよ」
「うん、楽しみ!」

水族館は、休日という事もあり、たくさんの人で賑わっていた。特に若いカップルや家族連れが目立った。
歩いていると、すれ違う多くの女子が亮を見る。お客さんだけでなく、スタッフさんまで。

「女子のみなさんが亮を見るね?」
「そうかあ? 俺、何度も通ってるから、顔を覚えられてるのかもな」

それはあるかもだけど、それだけじゃないと思う。亮は格好いいから。
そんな亮と並んで歩く私は、通勤着だし、浮いているのかも……

シャチのスタジアムへ行くと、観客席はほぼ満席だった。前列にかろうじて空いている席があり、亮と並んで腰掛けた。

「大きい……!」

間近で見るシャチは、想像以上に大きかった。

「可愛いだろ?」
「う、うん」

と言ったものの、正直なところ可愛いとは思わなかった。ハマると可愛くなるのかな?

亮が売り子さんから紺色のポンチョを買ってくれて、それを頭から被った。濡れないためらしい。
亮も同じのを被った。つまり、お揃い。

「これって、大げさじゃない?」
「葉子さん、甘い! シャチを甘く見ると、酷い目に合うぞ」

亮は私の靴をビニール袋に入れて、それとバッグをポンチョの中で抱えるとか、そんな世話をしてくれた。さすがに慣れてるって感じ。

軽快な音楽が鳴り、シャチのショーが始まった。
そして、大きなシャチが、目の前で高くジャンプし、

「うわあ、すごーい!」

なんて呑気にしていたら、次の瞬間バシャッと、大量の水が頭の上から降って来た。

「ひゃっ、冷たい!」

ポンチョを被ってたから良かったけど、そうでなかったら今頃はびしょ濡れだわ。

「今の、わざとだよね? 酷くない?」
「あはは、それがここの”売り”だからね」

「ほら、また来た」
「え?」

バシャッ
ひゃっ

もう……