アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました

今の話は聞き捨てならないわ。

「私の事を調べたなんて、酷くない? 裸を見られたような気分だわ」

「え?」
「あ……」

今の状況で今の比喩は、不適切にもほどがあるわね。

「だ、だから私が文学部専攻とか、彼氏がいないとか知ってたのね?」
「ごめん」

「他にも色々調べたんじゃない?」
「と言うと?」

「ん……高校以前の事とか、資産状況、はないか。えっと……諸々よ」
「それはない」

「本当に?」
「ああ。そもそも、俺は葉子の居場所しか依頼してないんだ。興信所が勝手にした事なんだ。多分費用を吊り上げるために」

「わかった。続けて?」

「おお。それでだ、葉子の勤務先にたまたま征一さんがいたから、あの人に頼んで入社して、葉子と同じ部署に配属してもらって、葉子を教育係にしてもらったわけよ。以上!」

”以上”って、ずいぶん端折ったわね。

「それって、コネというか不正なんじゃないの? 呆れた」
「それはそうとさ…… 」

あ。ごまかそうとしてる……

「葉子はてっきり、学校の先生になってると思ったんだよなあ」
「だからあ、亮君があんな事になって、教師になるのが怖くなった……って、えっー!」
「何だよ、急に大声出して……」

私はある重要な事に気付き、叫んでしまった。こんな肝心な事を忘れたなんて、我ながら信じられないわ。

「あ、あなたって、ひょっとして…………幽霊なの?」