アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました

寝室へ移動し、大きくてフカフカのベッドに、私は上を向いて体を横たえている。もちろん隣には、吉田君がいる。

「寒くないですか?」
「ううん、むしろ温かいわ」

軽くて柔らかな羽毛の掛け布団が心地よく、目を瞑れば、たちまち眠ってしまいそう。

「葉子さん……」

吉田君が私の方を向き、上から私を見つめてきた。穏やかに微笑み、優しい眼差しで。

「綺麗だ」
「吉田君も、素敵」

すると吉田君は、なぜかフッと顔を綻ばせた。
薄くお化粧をしたのだけど、変な個所があるのかしら。

「二人だけの時は”亮君”って呼ぶ約束、ずっと守ってないよね?」
「確かに、そうね」

「どうして?」
「だって、上司と部下の関係で、そういうのはダメだと思うの」

と、無難と思われる返事をした。本当の理由は、別にあるのだけど……

「だったら、俺が”葉子さん”って呼ぶのも、ダメでしょ?」

確かに。やっぱり吉田君って、鋭いわ。

「”亮君”だからでしょ? 昔を思い出すから、じゃないの?」
「え?」

「まだ気付かないの? 葉子先生」
「…………えーっ!」