寝室へ移動し、大きくてフカフカのベッドに、私は上を向いて体を横たえている。もちろん隣には、吉田君がいる。
「寒くないですか?」
「ううん、むしろ温かいわ」
軽くて柔らかな羽毛の掛け布団が心地よく、目を瞑れば、たちまち眠ってしまいそう。
「葉子さん……」
吉田君が私の方を向き、上から私を見つめてきた。穏やかに微笑み、優しい眼差しで。
「綺麗だ」
「吉田君も、素敵」
すると吉田君は、なぜかフッと顔を綻ばせた。
薄くお化粧をしたのだけど、変な個所があるのかしら。
「二人だけの時は”亮君”って呼ぶ約束、ずっと守ってないよね?」
「確かに、そうね」
「どうして?」
「だって、上司と部下の関係で、そういうのはダメだと思うの」
と、無難と思われる返事をした。本当の理由は、別にあるのだけど……
「だったら、俺が”葉子さん”って呼ぶのも、ダメでしょ?」
確かに。やっぱり吉田君って、鋭いわ。
「”亮君”だからでしょ? 昔を思い出すから、じゃないの?」
「え?」
「まだ気付かないの? 葉子先生」
「…………えーっ!」
「寒くないですか?」
「ううん、むしろ温かいわ」
軽くて柔らかな羽毛の掛け布団が心地よく、目を瞑れば、たちまち眠ってしまいそう。
「葉子さん……」
吉田君が私の方を向き、上から私を見つめてきた。穏やかに微笑み、優しい眼差しで。
「綺麗だ」
「吉田君も、素敵」
すると吉田君は、なぜかフッと顔を綻ばせた。
薄くお化粧をしたのだけど、変な個所があるのかしら。
「二人だけの時は”亮君”って呼ぶ約束、ずっと守ってないよね?」
「確かに、そうね」
「どうして?」
「だって、上司と部下の関係で、そういうのはダメだと思うの」
と、無難と思われる返事をした。本当の理由は、別にあるのだけど……
「だったら、俺が”葉子さん”って呼ぶのも、ダメでしょ?」
確かに。やっぱり吉田君って、鋭いわ。
「”亮君”だからでしょ? 昔を思い出すから、じゃないの?」
「え?」
「まだ気付かないの? 葉子先生」
「…………えーっ!」



