少し経っても顔や頭に衝撃がないので、恐る恐る目を開け、指の隙間から見てみたら……
誰かが野田さんの手首を、ガシッて感じで掴んでいた。その誰かとは、変な恰好はしているものの、見まがう事なく吉田君だった!
「な、なんだ、てめえは。放せよ」
「あんた、女性に手を上げるなんて、最低な奴だな」
「うるせえ、引っ込んでろ」
「あんたこそ、どっかへ行けよ」
「なんだと、この野郎!」
野田さん、ううん、野田は吉田君に掴みかかり、拳を突き出した。
吉田君がぶたれる、と思ってハッとしたのだけど、吉田君は野田の拳を手で受け止め、次の瞬間、ドンという音と共に、野田が地面に横転していた。
痛そう……
野田は、怯えたような顔で吉田君を見上げ、腰を手で押えながらよろよろと立ち上がった。そして、
「ママに言い付けてやる!」
と叫び、変な歩き方で逃げて行った。
「おいおい、”ママ”は、ねえだろう」
と言って吉田君はクスクス笑い、私もつられてウフフと笑ってしまった。
「吉田君、助けてくれてありがとう」
と私が言ったら、吉田君は、
「なんで?」
って言った。”なんで”って、なんで?
誰かが野田さんの手首を、ガシッて感じで掴んでいた。その誰かとは、変な恰好はしているものの、見まがう事なく吉田君だった!
「な、なんだ、てめえは。放せよ」
「あんた、女性に手を上げるなんて、最低な奴だな」
「うるせえ、引っ込んでろ」
「あんたこそ、どっかへ行けよ」
「なんだと、この野郎!」
野田さん、ううん、野田は吉田君に掴みかかり、拳を突き出した。
吉田君がぶたれる、と思ってハッとしたのだけど、吉田君は野田の拳を手で受け止め、次の瞬間、ドンという音と共に、野田が地面に横転していた。
痛そう……
野田は、怯えたような顔で吉田君を見上げ、腰を手で押えながらよろよろと立ち上がった。そして、
「ママに言い付けてやる!」
と叫び、変な歩き方で逃げて行った。
「おいおい、”ママ”は、ねえだろう」
と言って吉田君はクスクス笑い、私もつられてウフフと笑ってしまった。
「吉田君、助けてくれてありがとう」
と私が言ったら、吉田君は、
「なんで?」
って言った。”なんで”って、なんで?



