アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました

少し経っても顔や頭に衝撃がないので、恐る恐る目を開け、指の隙間から見てみたら……

誰かが野田さんの手首を、ガシッて感じで掴んでいた。その誰かとは、変な恰好はしているものの、見まがう事なく吉田君だった!

「な、なんだ、てめえは。放せよ」
「あんた、女性に手を上げるなんて、最低な奴だな」
「うるせえ、引っ込んでろ」

「あんたこそ、どっかへ行けよ」
「なんだと、この野郎!」

野田さん、ううん、野田は吉田君に掴みかかり、拳を突き出した。
吉田君がぶたれる、と思ってハッとしたのだけど、吉田君は野田の拳を手で受け止め、次の瞬間、ドンという音と共に、野田が地面に横転していた。

痛そう……

野田は、怯えたような顔で吉田君を見上げ、腰を手で押えながらよろよろと立ち上がった。そして、

「ママに言い付けてやる!」

と叫び、変な歩き方で逃げて行った。

「おいおい、”ママ”は、ねえだろう」

と言って吉田君はクスクス笑い、私もつられてウフフと笑ってしまった。

「吉田君、助けてくれてありがとう」

と私が言ったら、吉田君は、

「なんで?」

って言った。”なんで”って、なんで?