不意に近くで男性の声がし、変な声を出しちゃった。
「今のは誰? 彼氏か?」
声の正体は弟の誠だった。ちょうど会社から帰って来たところらしい。
「なわけないでしょ?」
「だよな」
あっさり言われた。少しは疑ってほしいのになあ……
「彼は会社の新入社員。今夜は彼の歓迎を兼ねて、食事してたのよ」
「ふーん。こっちは残業だってえのに、大企業の社員は気楽なもんだな。でも姉貴、気を付けた方がいいぞ」
「何によ?」
「男にだよ。何て言うか、その……最近の姉貴はフェロモン出し過ぎだから」
そう言って、誠は顔を赤くしたように見えた。気のせいかもだけど。っていうか、”フェロモン”って何?
「あ、そうだ。姉貴が見合いするって、本当か?」
「う、うん。流れで、そういう事になっちゃった」
「断っちまえよ」
「え?」
「俺、姉貴には自分を安売りしてほしくないんだ」
そう言って、誠は私の両肩をガシッと掴み、真剣な目で私を見た。
「ちょっ、顔が近い!」
私は誠を手で押しやり、
「親の顔を立てるだけだから」
と言うと、誠は納得してくれたようだった。
もしも吉田君が、今の誠みたいに言ってくれたら、きっと私は嬉しいだろうな。
「今のは誰? 彼氏か?」
声の正体は弟の誠だった。ちょうど会社から帰って来たところらしい。
「なわけないでしょ?」
「だよな」
あっさり言われた。少しは疑ってほしいのになあ……
「彼は会社の新入社員。今夜は彼の歓迎を兼ねて、食事してたのよ」
「ふーん。こっちは残業だってえのに、大企業の社員は気楽なもんだな。でも姉貴、気を付けた方がいいぞ」
「何によ?」
「男にだよ。何て言うか、その……最近の姉貴はフェロモン出し過ぎだから」
そう言って、誠は顔を赤くしたように見えた。気のせいかもだけど。っていうか、”フェロモン”って何?
「あ、そうだ。姉貴が見合いするって、本当か?」
「う、うん。流れで、そういう事になっちゃった」
「断っちまえよ」
「え?」
「俺、姉貴には自分を安売りしてほしくないんだ」
そう言って、誠は私の両肩をガシッと掴み、真剣な目で私を見た。
「ちょっ、顔が近い!」
私は誠を手で押しやり、
「親の顔を立てるだけだから」
と言うと、誠は納得してくれたようだった。
もしも吉田君が、今の誠みたいに言ってくれたら、きっと私は嬉しいだろうな。



