アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました

帰りもタクシーに乗り、私は家まで送ってもらった。
家の門扉の前で、吉田君と向かい合わせに立っている。

「私の家、小さいでしょ?」

今までは普通の家だと思ってたけど、たぶん豪邸であろう吉田邸と比べれば、豆粒のような家なんだと思う。

「そんな事ないですよ」
「ううん、そんな事ある」

「なんか葉子さん、元気ないですよね?」

そう。私は帰りのタクシーの中で、ずっと無言だった。吉田君が話しかけてくれても、生返事ばかりしてた。

「お腹が膨れて、眠くなっちゃったのよ」

それもある。でも本当は、惨めで、悔しくて、悲しくて、泣きたいのを必死に我慢してたんだ。今も。夜の暗さで、吉田君から私の表情が見えてないといいのだけど……

「今夜はありがとう。ご馳走さまでした」

私は無理やり笑顔を顔に貼り付けて言い、吉田君にペコっとお辞儀した。のだけど……

「俺、葉子さんとまだ一緒にいたい。どこかへ行きませんか? 例えば俺の家とか……」

…………え?