アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました

私達が近付くと、仕立ての良さそうなダークスーツを着た、凛とした感じの男性が吉田君に気付き、ナプキンで口元を拭いて立ち上がった。

「征一さん、奇遇ですね?」
「おお、亮平も来てたのか?」

などど言いながら、どちらからともなく握手をしたので、二人はとても仲が良いのだと思う。それとも、それがマナーなのかしら。だとしたら、私も握手するのかしら。求められたらすればいいのよね。たぶん。

「今、来たところです。こちらは課長の北野葉子さんです」
「北野と申します」
「おお、貴女が。お噂はかねがね……」

え?

と思ったら、すかさず吉田君がわざとらしく「コホン」と咳払いした。

”お噂”って、どういう事かしら?
噂と聞いて、真っ先に連想するのは、私と吉田君の、会社での良からぬ噂だけど、その事ではないだろうなと思った。希望的観測だけど。

だとすると、どういう噂なんだろう。後で吉田君に聞いてみようかな。

「こちらは神崎征一さん。俺達と同じ会社で、部署はえっと……」
「内部監査室だ」
「そうそう。そこの人で、神崎財団の次期総帥」
「おいおい、それは会社には秘密なんだよ」

「どうしてですか?」
「何かとやりにくいからだ。おまえもそうした方がいいぞ。吉田コンツェルンの跡取りさん」
「う、わかった。でも、もう手遅れ」

えーっ!?

吉田君って、御曹司だったの?