「………北野君、北野君」
誰かが私を呼ぶ声がし、薄く目を開けると、目の前に私を覗き込む部長の、少し脂ぎった丸い顔があった。
「あ、部長。寝過ごしてしまって、すみません」
私は慌てて体を起こすと、剥いだコートを軽く畳んで脇に置き、立ち上がった。
乱れたであろう髪を手で撫でながら、顔はどうなっているのかと考えた。
例えば、口の脇によだれの跡が残ってたりすると……最悪だわ。
「いやいや、いいんだよ。昨夜は大変だったようだね?」
「ええ、そうなんです。売上と仕訳の消費税が合わなくて……」
3円とは言い難く、敢えて金額は言わなかった。問われればもちろん、言うけども。
「で、解決したのかね?」
「はい。原因は商品マスターの登録ミスでした。
それを修正して月次処理をリランして、帳票を全て再出力しましたが、差異は解消してました。
帳票を部長のお席に置きましたので、後で承認をお願いします」
「わかった。さすがは北野君だな。助かったよ。もし決算月の処理に支障が出たら、それこそ始末書ものだからね」
誰かが私を呼ぶ声がし、薄く目を開けると、目の前に私を覗き込む部長の、少し脂ぎった丸い顔があった。
「あ、部長。寝過ごしてしまって、すみません」
私は慌てて体を起こすと、剥いだコートを軽く畳んで脇に置き、立ち上がった。
乱れたであろう髪を手で撫でながら、顔はどうなっているのかと考えた。
例えば、口の脇によだれの跡が残ってたりすると……最悪だわ。
「いやいや、いいんだよ。昨夜は大変だったようだね?」
「ええ、そうなんです。売上と仕訳の消費税が合わなくて……」
3円とは言い難く、敢えて金額は言わなかった。問われればもちろん、言うけども。
「で、解決したのかね?」
「はい。原因は商品マスターの登録ミスでした。
それを修正して月次処理をリランして、帳票を全て再出力しましたが、差異は解消してました。
帳票を部長のお席に置きましたので、後で承認をお願いします」
「わかった。さすがは北野君だな。助かったよ。もし決算月の処理に支障が出たら、それこそ始末書ものだからね」



