「お父さん、お見合いの後に、お断りしてもいいのよね?」
「もちろんだよ」
それなら、いいかな。お見合いぐらいしたって。父の顔を立ててあげたいし。
という事で……
「わかった。お見合いするわ」
って、言ってしまった。
「お、そうか。ありがとう。助かるよ」
と父は言ったものの、少し寂しそうな顔をした。こういう時の父親の心境って、複雑なのかな。私には解らないけど。
改めて野田正樹さんの写真を手に取って見た。
「ハンサムよねえ」
と母は言うけど、私はそうは思わなかった。この人と、例えばキスするとかって、全くイメージ出来ない。吉田君となら、出来るんだけどなあ。
写真と言えば、
「ねえ、私の写真はどうしたの? お見合い写真なんて、撮ってないよね?」
「ああ、それはだな、葉子が大学を卒業した時に撮った写真があったろ? あれを渡してある」
「えーっ、それって……7年も前じゃない。詐欺にならないの?」
「それは大丈夫。古い写真だと言ってあるし、葉子はあの頃とちっとも変ってないから。なあ、母さん?」
「そ……よね」
「何よ、今の間は?」
「葉子は今もあの頃のままよ。ただ、ちょっとだけ小皺が増えたかな、なんて……」
「変わってるんじゃん」
などと言って笑い合った。心では、泣いていたのだけど。
「もちろんだよ」
それなら、いいかな。お見合いぐらいしたって。父の顔を立ててあげたいし。
という事で……
「わかった。お見合いするわ」
って、言ってしまった。
「お、そうか。ありがとう。助かるよ」
と父は言ったものの、少し寂しそうな顔をした。こういう時の父親の心境って、複雑なのかな。私には解らないけど。
改めて野田正樹さんの写真を手に取って見た。
「ハンサムよねえ」
と母は言うけど、私はそうは思わなかった。この人と、例えばキスするとかって、全くイメージ出来ない。吉田君となら、出来るんだけどなあ。
写真と言えば、
「ねえ、私の写真はどうしたの? お見合い写真なんて、撮ってないよね?」
「ああ、それはだな、葉子が大学を卒業した時に撮った写真があったろ? あれを渡してある」
「えーっ、それって……7年も前じゃない。詐欺にならないの?」
「それは大丈夫。古い写真だと言ってあるし、葉子はあの頃とちっとも変ってないから。なあ、母さん?」
「そ……よね」
「何よ、今の間は?」
「葉子は今もあの頃のままよ。ただ、ちょっとだけ小皺が増えたかな、なんて……」
「変わってるんじゃん」
などと言って笑い合った。心では、泣いていたのだけど。



