アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました

「お父さん、お見合いの後に、お断りしてもいいのよね?」
「もちろんだよ」

それなら、いいかな。お見合いぐらいしたって。父の顔を立ててあげたいし。
という事で……

「わかった。お見合いするわ」

って、言ってしまった。

「お、そうか。ありがとう。助かるよ」

と父は言ったものの、少し寂しそうな顔をした。こういう時の父親の心境って、複雑なのかな。私には解らないけど。

改めて野田正樹さんの写真を手に取って見た。

「ハンサムよねえ」

と母は言うけど、私はそうは思わなかった。この人と、例えばキスするとかって、全くイメージ出来ない。吉田君となら、出来るんだけどなあ。

写真と言えば、

「ねえ、私の写真はどうしたの? お見合い写真なんて、撮ってないよね?」
「ああ、それはだな、葉子が大学を卒業した時に撮った写真があったろ? あれを渡してある」
「えーっ、それって……7年も前じゃない。詐欺にならないの?」

「それは大丈夫。古い写真だと言ってあるし、葉子はあの頃とちっとも変ってないから。なあ、母さん?」
「そ……よね」
「何よ、今の間は?」

「葉子は今もあの頃のままよ。ただ、ちょっとだけ小皺が増えたかな、なんて……」
「変わってるんじゃん」

などと言って笑い合った。心では、泣いていたのだけど。