アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました

「あいつには近付かない方がいいですよ」
「そうね。そうする」
「何かあったら、俺に言ってください。葉子さんは、俺が全力で守りますから」
「う、うん」

吉田君、なんでそんな事を言うの？
そんな事を言われたら、私、勘違いしちゃうよ？
それでもいいの？

「経理かあ……おお、裕子！」

突然、吉田君が大きな声を出して手を上げた。その先に目をやると、こちらに向かって歩いてくる一人の女の子がいた。

「吉田君、こんにちは」

裕子というらしいその女の子は、小走りで吉田君の前に来て、ペこりとお辞儀をした。
可愛いわあ。お人形さんみたい。

その仕種には幼さがあり、吉田君よりも更に若く見えるけど、どうなんだろう。

黒目がちな目はパッチリとして、肩まで伸びた髪はサラサラで艶やかで、まるで日本人形のよう。

「葉子さん、こいつは俺と同期の西野裕子です」
「西野です。はじめまして」
「はじめまして」

「こちらは俺のボスの、北野葉子さん」

ぼ、ボス？

「え？」
「俺の上司さ」
「ああ、そうなんですね。よろしくお願いします」
「北野です。よろしくね」

もう……なんで”ボス”なんて言うのかなあ。男性はよく使う言葉かもしれないけど、なんか年寄り扱いされたみたいで嫌だなあ。

「あ、そうだ。裕子は経理部配属だったよな？」
「うん、経理部経理課だよ」

「青山って男がいるだろ？」
「ん……どうだったかなあ。まだみなさんのお名前、覚えてなくて。えへへ」

うわっ、可愛い！
もし同じように私が笑ったとしたら……キモいだけだわね。

「そっか。もし青山って男がいたら、気を付けろよ。危ない奴だから」
「うん、分かった」
「困った事があったら、俺に連絡しろよ。助けてやるから」
「うん、そうするね」

ふ〜ん、そういう事、誰にでも言うんだ……