アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました

「吉田さんの教育係ですけど、どうして北野さんなんですか?
普通、課長はやらないからおかしいって言ってました。誰とは言えませんけど」

それについては、はっきりきっぱり説明出来る。

「部長からの指示よ。吉田君は期待の新人だから。課長の私にやってほしいって言われたの。嘘だと思ったら、部長に確認してみて?」

あ、確か吉田君の『本人の強い要望』というのもあったんだ。でも、それは言わないでおこうっと。要らぬ誤解を招きそうだから。

そう言えば、なぜ吉田君はそんな要望、つまり私を指名したんだろう。私とは昨日会ったばかりなのに。

ああ、そうか。”課長”に教育してもらいたいって意味か。私を指名したんじゃなくて。なんだ、そうか。

「わかりました。北野さんの説明を信じます」
「ありがとう」

「色々言ってしまいましたが、私自身は北野さんと吉田さんの関係を疑ってませんので。だって、お二人の年齢差を考えたら、有り得ないですよね?」

「え?」

「お時間をいただいてすみませんでした。失礼します」

と言って麻衣ちゃんは出て行った。
最後のは、何だったの? 嫉妬? それとも勝利宣言?

私と吉田君が有り得ないなんて、言われなくても解ってるよ……