アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました

「だからもう、野田さんとのお付き合いは無理なの」

私がそう言うと、みんな一斉に頷いた。

「お父さん」
「ん?」
「お父さんから、その事を支店長さんに伝えてほしいの。野田さんから、変な伝わり方をする前に」
「わかった。休み明け、真っ先に支店長に伝えるよ」

「でも、大げさにはしたくないの」
「それもわかった。俺に任せてくれ」

「父さん、葉子の名誉が傷付かないように、お願いね?」

と、母も言ってくれて、野田さんの件はこれでお終い、と思ったのだけど……

「という事は、葉子。あんた、昨夜は……」

と、母が一番痛いところを突いて来た。
早くも誠は「ん?」という顔をし、疑念に気付いたっぽい。
でも父は、「支店長かあ」と呟いて、なぜか亮の顔をボーっと見ていて、気付いてなさそう。

という事で、せめて父には知られないよう、母に『それ以上は言わないで!』と、強く念を送ったのだけど……

「どこに泊まったのよ?」

私の念は、母に届かないか、届いたけど無視されたみたい。

母は、私が今日、亮と水族館へ行ったのを知ってるので、当然ながら私が亮の家に泊まったのは判っていて、それを確認するかのように亮を見ている。

誠は、そんな母の視線に気付き、ギョッとした顔で亮を見た。父はボーっとしてるけど、会話は聞いているはずだ。

私は観念し、俯いて、みんながやっと聞こえるかどうかの小さな声で、ボソッと言った。

「吉田君のタワマンよ」と。