先生の監視がついている中ではとりあえず連絡先を交換するぐらいのことしかできなかった。
これからどうしよう。
学校ではキリコを演じるのは余裕だが、さすがに親の顔を見たときには心配になってきた。
病院にはお互いの親がやってきて、そのまま家に連れて帰ることになったのだった。
あたしはキリコのうちへ行き、キリコはあたしのうちへ行く。
あたしはキリコママをだませるだろうか。
キリコだってうまくあたしを演じられるの?
それだけじゃないよ。キリコがあたしの部屋に入り、物色されるのは虫唾が走るほどだがこの状況ではどうにもならない。
誰に説明したところで、中身が入れ替わっただなんて、信じてはくれない。
音無花音がそんな奇妙なことを言い出すなんて、あってはならないことだ。
しかも、キリコと入れ替わっているだなんて。キリコと仲がいいように思われたくもないし。
キリコ以外には相談できなくてもどかしい。
一瞬、お母さんにだけにはいってみようかとも思った。
でも、キリコがべったりとついている。
もし――もし、入れ替わりを誰かに話したところで。キリコが裏切って入れ替わりなんて起こってないと言いだしたらどうしよう。
あたしは一刻も早く元に戻りたいけど、キリコは案外ラッキーとでも思ってるかもしれない。
キリコを慎重に手懐けなくては。
仕方なくキリコママについて歩き、間違えないように車に乗った。
やはり、雨は検査が終わるころには降り出していた。
つい癖で濡れた髪にふれようとしたら、キリコはボブショートだった。髪全体を左寄りに分け、後ろより前の方が長くなるようにカットされていた。
クセのない髪質にちょっとだけうらやましくなる。
車のことには詳しくないが、エンジン音の小さな電気自動車であるようだった。
いつものように後ろの座席にゆったりと座り、キリコとスマホでやりとりをする。
自分の部屋の位置、ご飯を食べるときにはどこに座るか、お風呂の時間、おおよその一日の予定。
うちも、キリコんちも共働きで、親ともそう長い時間を共にするわけじゃなかったし、なにかおかしいと思われたときは、不機嫌になって反抗期だってことにすれば乗り切れる、というところに着地した。
これからどうしよう。
学校ではキリコを演じるのは余裕だが、さすがに親の顔を見たときには心配になってきた。
病院にはお互いの親がやってきて、そのまま家に連れて帰ることになったのだった。
あたしはキリコのうちへ行き、キリコはあたしのうちへ行く。
あたしはキリコママをだませるだろうか。
キリコだってうまくあたしを演じられるの?
それだけじゃないよ。キリコがあたしの部屋に入り、物色されるのは虫唾が走るほどだがこの状況ではどうにもならない。
誰に説明したところで、中身が入れ替わっただなんて、信じてはくれない。
音無花音がそんな奇妙なことを言い出すなんて、あってはならないことだ。
しかも、キリコと入れ替わっているだなんて。キリコと仲がいいように思われたくもないし。
キリコ以外には相談できなくてもどかしい。
一瞬、お母さんにだけにはいってみようかとも思った。
でも、キリコがべったりとついている。
もし――もし、入れ替わりを誰かに話したところで。キリコが裏切って入れ替わりなんて起こってないと言いだしたらどうしよう。
あたしは一刻も早く元に戻りたいけど、キリコは案外ラッキーとでも思ってるかもしれない。
キリコを慎重に手懐けなくては。
仕方なくキリコママについて歩き、間違えないように車に乗った。
やはり、雨は検査が終わるころには降り出していた。
つい癖で濡れた髪にふれようとしたら、キリコはボブショートだった。髪全体を左寄りに分け、後ろより前の方が長くなるようにカットされていた。
クセのない髪質にちょっとだけうらやましくなる。
車のことには詳しくないが、エンジン音の小さな電気自動車であるようだった。
いつものように後ろの座席にゆったりと座り、キリコとスマホでやりとりをする。
自分の部屋の位置、ご飯を食べるときにはどこに座るか、お風呂の時間、おおよその一日の予定。
うちも、キリコんちも共働きで、親ともそう長い時間を共にするわけじゃなかったし、なにかおかしいと思われたときは、不機嫌になって反抗期だってことにすれば乗り切れる、というところに着地した。



