なりきるキミと乗っ取られたあたし

 霧島桐子の自宅に戻ってまずはスマホを充電した。
 キリコママもパパもまだ帰宅していなかった。夕飯はたまに外に呼び出されて食べに行くこともあるらしいが、キリコから連絡がないのでこのまま二人が帰ってくるのを待っていればいいだろう。

 ケーブルをつないだままスマホの電源を入れる。
 双葉たちからのメッセージを確認しようとアプリを立ち上げるが、双葉と友梨奈と3人で作ったグループから自分が外されていてビビッた。

 速攻キリコにメッセージを送る。
 ――双葉と友梨奈となんかあった?
『別に』
 ――グループから抜けてるんだけど。
『スマホの充電が切れてただけなんでしょ?
ちょっと繋がらなかったからって、あのふたり、せっかちだよね
だから、スマホ買い換えて
パスワードもわかんなくてアカウント新しくしたからって』
 ――それで?
『わたしの教えた
こっちでやりとししてる』
 ――勝手なことしないでよ
『どうでもいい話ばっかりじゃん』

 ふざけんな。
 そのどうでもいいことをうまくやれなきゃいけないんだよ。うまくやれなくて友達ができなかったキリコになにがわかるんだ。

 キリコは疫病神だ。本当に呪ってやりたい。
 なんであたしだったんだ。なんであたしを引きずり落としたの。双葉か友梨奈にしておけばよかったのに。

 あたしを選んだのは、やっぱり先輩たちのせいだろうか。
 脅されてあたしに危害を加えようとして、なぜかこんなことになってしまったとか?
 自分はあたしを引きずり落とすこと選んでおいて、なんだかみょうなことになったからって、あとはこっちに丸投げとか。勘弁してよ。

 どうすればいいの?
 どの選択でもあたしが損するじゃん。
 音無花音がカースト底辺に落ちるなんて絶対にダメ。
 キリコのことはどうでもいいけど、元に戻れない以上、霧島桐子の姿のまま先輩のパシリにさせられるのだってイヤだよ。
 八方塞がりにあたしは頭を抱えた。