拝啓、愛すべき総長サマ。



「まず、ピンクの髪色をした彼は神崎(かんざき) (たける)。茶髪で関西弁の方は風間(かざま) 洸人(ひろと)。あの二人は同じ中学出身で”風神”って通り名で知られるコンビだよ。」

「……風神?」

「風間の”風”と神崎の”神”の字をとって、風神。」

幼稚すぎる発想に突っ込んでしまいそうになったが、杉野くんは至って真剣に語っているので茶化すようなことはやめておこうと我慢する。

「っで……潔木の前の席に座ってた金髪の彼が東條(とうじょう) 千紘(ちひろ)。彼の祖父がこの学園の経営者で父親が理事長をしてる。潔木とは幼なじみで小中一緒だったってのは有名な話だから知ってるか。」

──いや、存じ上げませんね。

それにしても…なるほど、納得だ。学園の理事長の息子が潔木くんと幼なじみだから…私を退学に出来るとかいう話しになったのか。


「潔木の後ろに座ってたのが、水瀬(みなせ) (かえで)。銀髪だから目立つよな?」

「杉野くんの髪色も緑だから同じくらい目立ってるよ。」

「いや、俺のはただの高校デビューだから。水瀬のとは違うよ。水瀬は中学の時、たった一人で潔木達のところにやって来て喧嘩を吹っかけた一匹狼。銀髪の狼!!」

誰でも思いつきそうなほど、在り来りな愛称に再び笑ってしまいそうになったのだが…

「っで…潔木北人なんだけど、」

大本命の潔木くんの話しになったので、全集中して杉野くんが語るのを大人しく待つ。


「良く言えば最強に喧嘩が強くて無敵のヒーロー。悪く言えば誰も敵わない最恐の悪人。」

「要は喧嘩が強すぎて誰一人として敵わないってこと?」

「そーいうこと!君、頭いいね?」

テストの偏差値は平均的な方だけど、この学園では上位に入れる気がしてきたぞ。