私の家は普通の人とは少し違い、世間様から距離を置かれるような…ちょっと特殊な家柄だった。

昔で言うところの”ヤクザ”というやつだろうか?

しかし、コンプライアンス重視の現代社会で人を陥れるような生き方をしていれば…まず叩かれる。


こんな時代が来ることを見越していたのか、私の祖父は先代から続く悪行を全て廃止し…今は夜の飲食店の営業や、土木関係、金融関係の仕事を総括する組織の中核として”多岐川組”という名で経営を行っている。


というのは表向きで、私が知らないところで恐ろしい仕事をしている可能性は否定出来ないが…いまはその話は置いておこう。


日本庭園があるような御屋敷で育った私は、屋敷で暮らす父や兄の舎弟たちに”お嬢”と呼ばれ…これまで、過保護なほどに干渉されてきたのだが。



───友達が欲しい。


家柄のことを知らない、普通の友達が欲しいと思うようになり…高校受験は縁もゆかりも無い、県外の高校を受けさせてもらった。


もちろん毎日の送迎は父が手配した車。学校終わりに舎弟たちが校門の近くで待機している。


私という人間自体は大したことの無い、ただの女子高生に過ぎないが…そのバックには少しばかり面倒な人間が存在する。


そんな私に─…隣の席で突っ伏している男、
潔木北人は躊躇うことなく暴言を吐いたのだ。


───興味が湧かない、はずが無い!