(嫌だ、私ったら普通に答えちゃって、キスしちゃって、紅茶入れて貰って、社長にそんな事させられないでしょ)

「あのう、私が……」

そう言いかけてキッチンに向かうと、光高はつぐみの背中を押しながら、「いいから、いいから」とウオッシャールームに行かせた。

「つぐみ、今日はどこにデートに行こうか」

光高はキッチンから叫んでいた。

(そうだ、私、社長の恋人の振りをするんだった)

つぐみはキッチンに戻ってくると、光高に聞いた。

「あのう、お母様の前だけでいいんじゃないでしょうか」

「普段から恋人同士のようにしていないと、ボロが出るだろ」

そして、私は東藤光高の恋人の振りをすることになった。

早速、つぐみは光高と伴って、光高の母親の元に挨拶に行くことになった。

「緊張します、私、大丈夫でしょうか、社長」

「社長はおかしいだろう、光高でいいよ」

「光高さん」

「そうそう、その調子」

そして、光高の母親が待つ屋敷に入って行った。