「そう言う訳にはいきません、社長に奢って頂く理由がありません」

「それなら、今日は俺がつぐみをデートに誘ったことにすればいい」

急につぐみと呼ばれて、ドクンと胸が高鳴った。

さっきまで、振られて涙していたのに、自分が情けなくなってきた。

「俺が勝手にオーダーするよ、食べられないものとかある?」

「あっ、いえありません」

光高は慣れた感じで、次々とオーダーをした。

「ごめん、どうしても気になって、聞いてもいいかな」

つぐみは何を聞かれるのだろうと不安になった。

「なんでしょうか」

「さっき、泣いてた理由が知りたい、でもどうしても話したくないなら、いいんだ」

「大丈夫です」

つぐみは話始めた。

「五年付き合った彼に振られちゃったんです」

「そうだったんだ」

「二年も二股掛けられて、気づかない私も私ですけど、好きな女の子が出来たとかで、もう笑っちゃいますよね」