かりそめの恋人なのに、溺愛が止まりません

(怒ってるよな、俺としたことがひどい言葉を感情の赴くままにぶつけるとは……)

光高はそのまま自分の寝室に入った。

いつのまにか寝てしまったようで、あたりは薄暗くなっていた。

(もう一度つぐみに謝るか)

光高はつぐみの部屋の前で声をかけた。

「つぐみ、許してくれ」

しかし、一向に返事がない。

ドアのノブに手をかけて開けた。

部屋の中にはつぐみの姿は見当たらない。

「つぐみ、つぐみ」

リビングのテーブルの上のメモが目に止まった。

『光高さん、やっぱり私はあなたのかりそめの妻は無理です、ごめんなさい』

つぐみは光高を愛してしまったのだ、だからこのままかりそめの関係を続けていくことは出来ないと思い、光高の側を一刻も早く離れなければと思ったのだ。

そんなつぐみの気持ちを光高は思いもしなかった。

柿崎を忘れられず、柿崎とよりを戻したいのだと思ってしまったのだ。

二人のすれ違った思いは交わることはなかった。