かりそめの恋人なのに、溺愛が止まりません

「別に心配はしていない、三時間も柿崎と一緒で楽しかっただろう」

「楽しくはありません、不安でした」

「柿崎が一緒だったのに、不安だなんて、俺に嘘つかなくてもいいよ」

「嘘じゃありません」

「混雑していた電車の中で、柿崎と身体が密着して、興奮したんじゃないのか」

光高は嫉妬の気持ちをどうすることも出来ずにいた。

思ってもいないことが次から次へと出てしまった。

「光高さん、ひどい、そんな言い方しなくても……」

つぐみは自分の部屋に入って鍵をかけた。

(なんてことを言ったんだ、俺は……)

本当は心配で堪らなかった。

優しく抱き寄せて、キスをしたかった、それなのに柿崎に嫉妬してひどい言葉をぶつけてしまった。

(俺はなんて奴だ)

光高はつぐみの部屋の前で声をかけた。

「つぐみ、ごめん、言い過ぎた」

でもつぐみの返事はない。