かりそめの恋人なのに、溺愛が止まりません

そんな二人の姿を駅に駆けつけた光高はじっと見ていた。

「つぐみ」

光高はつぐみに近づき、柿崎から引き離した。

「社長」

柿崎は光高を睨んだ。

「つぐみが世話になった、お前は社に戻って手続きを済ませろ」

光高はつぐみをぎゅっと抱きしめた。

「光高さん」

「大丈夫だったか、早くマンションに帰って休もう」

つぐみは光高に抱きしめられてドキドキが止まらない。

そんなつぐみの態度に光高は勘違いをしてしまった。

柿崎の前で光高に抱きしめられている様子を、柿崎に見られたくなかったと……

(つぐみ、やはりお前は柿崎が忘れられないのか)

マンションに戻っても、光高は一言も言葉を発しない。

つぐみは光高に声をかけた。
「光高さん、心配かけてしまってごめんなさい」

光高は素直になれず、憎まれ口を発した。