かりそめの恋人なのに、溺愛が止まりません

すると、つぐみと同じ電車に乗っていることが判明した。

(つぐみ、どんなことがあっても俺はつぐみを手放さないぞ、俺から離れたりしないよな)

しかし、光高は不安で押しつぶされそうだった。

そんな光高の気持ちも知らず、つぐみは運転見合わせの電車の中で柿崎と久しぶりの会話を楽しんでいた。

「こんなに話したの久しぶりだな」

「そうだね」

「俺たち、やり直せると思わないか」

「何言ってるの?私はもう人妻です」

「この電車に乗り合わせたのだって、運命だよ」

「また、たまたまよ、それに私、光高さんが好きなの」

柿崎はつぐみの言葉に驚きを露わにした。

「嘘だろ、俺への当てつけで社長と結婚したんだろ、だから、社長と別れて俺と結婚してくれ」

「正臣」

その時、車内にアナウンスが流れた。
「次の駅まで電車が動きます、ご乗車になってお待ちください」

すると混雑していた車内がさらにぎゅうぎゅう詰めになった。