かりそめの恋人なのに、溺愛が止まりません

光高は会社に戻る車の中から、怒りを隠せずにいた。

信号待ちしていた車は発進した。

(まだ、あいつに未練があるのか)

光高に見られていたことなど気づかなかったつぐみだが、

柿崎に未練などなく、早く帰りたいと思っていた。

「ごめんなさい、私、もう帰ります」

つぐみは急いで席を立って、店から出た。

「待って、つぐみ」

柿崎もつぐみの後を追って店を出た。

柿崎はつぐみの腕を引き寄せ抱きしめた。

「つぐみ、俺達やり直さないか、つぐみと別れて、つぐみの大切さを痛感した」

じっと見つめ合い、沈黙が流れた。

そこへ光高がUターンして戻ってきた。

見つめ合うつぐみと柿崎。

光高は二人に近づき、柿崎からつぐみを引き離した。
つぐみは急に腕を掴まれて、引き寄せられた相手が光高だったことに、驚きを露わにした。