かりそめの恋人なのに、溺愛が止まりません

「森岡さん、うまく乗り換えたよね、人事の柿崎さんと付き合ってたんだもんね、
柿崎さんかわいそう」

私を振った恋人は同じ会社の人事部に勤務している。

(言いたい放題言ってくれちゃって、柿崎さんがかわいそう?振られたのは私だって言うのに、それに私は社長とはかりそめの関係です、誰が妊娠してるって、失礼しちゃう)

トイレに入っていたつぐみは、言いたい放題の女性社員にむかついていた。

トイレに誰もいなくなったタイミングで、つぐみはやっとトイレの個室から開放された。

廊下に出ると、柿崎と会ってしまった。

「あっ」

「つぐみ」

そこへ光高がつぐみを探してやってきた。

光高はつぐみが人事の柿崎と付き合っていたことを知っていた。

「つぐみ」

光高はつぐみを呼び止めた。

柿崎は社長である光高を一瞬睨んだ。

そして、つぐみに声をかけた。
「つぐみ、今度食事でも行かないか、同期として」

つぐみはポカンとして答えられなかった。