かりそめの恋人なのに、溺愛が止まりません

本当は、彼と一緒に書きたかった婚姻届。

涙が溢れてきた。

「つぐみ、どうしたの?」

つぐみは慌てて涙を拭った。

「すみません、なんでもありません」

(つぐみ、やはり元彼が忘れられず、俺との結婚は納得いかないのか、でも俺はお前と入籍して、俺のものにしたい)

つぐみは婚姻届にサインをした。

つぐみは光高と夫婦になり、会社を退職した。

「つぐみ、社員に挨拶するから、明日、そのつもりでいてくれ」

「はい、緊張しますね」

「つぐみは何も話さなくていいから」

「はい」

挨拶当日、つぐみは退職の挨拶も兼ねた。

女性社員の視線が突き刺さる。

「森岡さん、妊娠してるんだって、そうじゃなくちゃ、社長と結婚出来ないでしょう」
「社長、かわいそう」

「だって、社長に恋人いるよね、その恋人もかわいそう」