「私がソファで寝ます」

つぐみが透かさず言葉を発した。

「何言ってるんだ、俺がソファ使うから、つぐみは俺の寝室のベッドを使え」

「そんなこと出来ません」

「それならベッドで一緒に寝るか」

つぐみは顔を真っ赤に染めて俯いた。

「決まりな、一緒に寝よう」

(無理だよ、でも私少し期待してるかも、さっきのキスであんなにドキドキしちゃって
その先ってどうなっちゃうんだろう)

ベッドに入ると、中々寝付けない。

ベッドはキングサイズもあるから、二人の距離は遠い。

つぐみは元恋人と二年もの間何もない状態だった。

二十七歳にもなって、全く潤う事もなく、キスだけであんなにもドキドキしてしまった。

光高は憧れの存在だ。

かっこよくて、頼りがいがあって、食事を一緒に出来るだけでも嬉しいのに、キスしちゃうなんて……

だから、光高が自分に五年も片思いしていたなんて、考えられないことだった。

「もう寝たか」