その時、つぐみは大変なことに気づいた。

(ベッド、二つあるのかな、私はソファで寝ればいいか)

シャワールームでは、光高が頭から冷たいシャワーを浴びていた。

(俺はなんてことを、かりそめの関係なのに、止めることが出来なかった)

光高はずっとつぐみの存在が気になっていた。

社長就任したのが五年前、その時新入社員として入社してきたのがつぐみだった。

前社長は光高の父親で、五年前病気で亡くなった。

その時社長を就任したのだ。

母親は光高の本当の母親ではない。

十年前に父親が再婚したのだ。

社長就任してから、結婚しろとうるさく言ってきた。

でも光高はつぐみと結婚したかった。

ところが、つぐみは恋人がいた。

五年もつぐみに片思いしていたのだ。

光高は社長就任後、すぐにつぐみを秘書に抜擢したのだ。

あの日、仕事が終わって会社に戻ると、秘書室の電気がまだ点いていた。
(まだ、残っているのか)