「カムフラージュの訳ないじゃないですか、もうお帰り下さい」

「つぐみさんと言ったかしら、光高さんを愛しているの?」

つぐみは急な質問に戸惑った。

「あら、愛していないの?」

光高は透かさず助け船を出してくれた。

「僕たちは愛し合っています、結婚するんですから」

「そうよね、でもつぐみさんはどうなのかしら、光高さんの財産目当てなんてことも考えられるわよね」

「私はそんな事思っていません」

(なんでそこまで言われないといけないの)

つぐみはかりそめの関係なのにと、怒りが湧いてきた。

「母上、つぐみに謝ってください、いくら母上でも言っていいことと悪いことがあります」

「それが母親に対する言葉なの?」

「つぐみは自分と生涯を共にする女です、守るのは当たり前です」

つぐみは光高の言葉に胸がきゅんとした。

「もう帰ります」

母親はマンションをあとにした。