俺のエゴでしかない。 「私、紫悠が大好きだよ」 その言葉に瞳が揺れる。 「私の幼馴染で、お兄ちゃんの親友でいてくれて本当にありがとう」 ぎゅっと抱きしめられて、俺の視界が滲んだ。 そしてそれは遂に雫となって瞳から溢れる。 ……あーあ。聖杜に怒られるかもなあ。 妹の前でなに泣いてんだって。 俺だって自分で呆れてるよ。 だけど桜駒はそんな俺を見て罪なほどに優しく笑っていた──。