初めまして!私は名も無き黒猫です。最近、人間達の言う京に来たばかりの黒猫です。
「壬生狼よ。」「そうねぇ。早く出て行ってくれないかしら。」「見て。女の子がいるわよ。」「女の手を借りなきゃいけないほどなの?」
そんな噂が聞こえて来ると、多分空色って言うんだろうけれど、そんな色に山形のギザギザがある着物を羽織った人達が歩いていて、先頭には癖っ毛のある色素の薄い髪を肩まで伸ばし、緩く結んだ女の子が歩いていた。でもその瞳には光が宿っていなくて、少し怖く感じた。すると、その少女の隣にいた男の人が、
「オラァ!お前ら誰がこの京の治安を守っていると思ってるんだ!」
そう切れていて、少し怖かった。でも
「まぁまぁ。皆さんすいませんね。ほら。裕貴さんもそんなに怒ってたら逆効果です。」
そう宥められていたから解決したのかな?
「……?あれ。黒猫君だ。どうしたの?君。こんな怖い大人見てたらいつか殺されちゃうよ。早くお家帰りなね。」
見てたのバレた?!何者?!結構こっそりだったんだけど。それと君じゃなくてちゃんだよ……
それからしばらくして、町を歩いてたら看板を見つけた。
"京都守護職会津藩御預新選組壬生屯所"
なんて書いてあるんだろ。読めないなぁ……入ってみよっかな。
始めはそんな軽い気持ちだった。あんなことになるとも知らずに。
すると、大人達の声が響き渡った。
「沖田先生ー!沖田先生はおられませぬかぁー!!」
「沖田先生なら先程巡察からお帰りになられたばかりだし、いつもの縁側じゃねー?」
そんな大きな声にびっくりしていると、茂みからさっきの女の子が出て来た。
「……シーっ!君、こんなとこ来ちゃダメだよ。怖い大人達がいっぱいいるからねぇ。……あんなに叫ばなくても探せば見つかるのに。まぁ、私は絶対見つかりませんけどねぇ。あんな子供騙しに引っかかるものですか。」
分からないけど、多分この人が"沖田先生"って人なのかな?
「にゃー!」
「ちょ!」
試しにそう言ってみたらその人凄い速さで走ってっちゃった。
「なんだ猫かよ〜。沖田先生どこだよ……」
それからしばらくして、とある縁側にて
「……!さっきの猫だ。お家帰らないの?ここはねぇ、猫が1匹で来るような場所じゃないんだよ。命が惜しければ帰りな。」
そんなこと言われても帰れないよ。家ないもん。
「……帰らないんだ。へぇー。なら、刀の錆になっても文句言えないよね……?」
え。
「………。なぁんて。嘘だよ。こんな可愛い小動物を斬るわけないじゃん。土方さんじゃあるまいし。……それにしても泥だらけだね。洗って上げる。……刀抜いても帰らないってことは、何かワケありなんだ。……近藤先生に頼んで飼えないかなぁ。あ!とりあえず、洗ってあげる。」
と、そんなこんなで、私は洗われることになり、それからしばらくして。
「……さてと。あとは近藤先生に頼んで何とかしないとね。」
近藤先生?どんな人なんだろ。
「近藤先生。入りますよ。」
『ああ。』
第一印象は大きくて朗らかな人。
「実はその、お願いがあって……」
「珍しいな!なんだ?」
「その、この子を屯所で飼えないかなって。」
「……黒猫か。うむ。可愛いな!よし!最後まで面倒見るならいいぞ!」
「ホントですか?!やったぁ!」
「でも、どうして俺なんだ?」
「そりゃ近藤先生は局長ですし、あと、うるさい人が居るし話が長くなる人が居るし……ってことで、何か頼む時は近藤先生が適任なんです!」
なんかよく分からないけど、ここで暮らせるようになった?みたい。そして、その人に連れられ1つの部屋の中に入った。
「鈴付けてあげないとね。こうして、こう!よし。似合ってる!」
「にゃー。」
なにこれ。
「うんうん。喜んでる喜んでる!」
「……にゃー?」
「えーっと、名前……六花、とか?」
私に名前が出来た。
「あ、それと私、沖田総司っていうの!よろしくね!」
こうして私は、沖田総司の飼い猫になったのであった。
それからしばらくして、夜。
「…すやぁ……」
「……にゃー……」
眠っていると、
「うわ!なにこれ平和かよ!」
「そうっスよね。我らが特攻隊女隊長がこんなでいいんスかね?」
「つか、猫と添い寝って……あの総司が?」
「沖田先輩ってどんな風に思われてるんスか……」
「イタズラしてやる?」
何やら声が聞こえて来て、墨の着いた筆を持った男の人が近づいて来た。
「……すやぁ……」
「気持ちよさそうに寝てんな。」
「……っ!」
「やべっ!」
えぇ……なにこれ……仕返しに遭ってる。
「……ふぅん?へいすけぇ。なぁにしてるのかなぁ?」
「俺無実!俺無実だってぇー!」
「あ、沖田先輩。藤堂先輩現行犯っスよ〜!イタズラしてやる?って言ってましたっス〜!」
「ふーん?へいすけぇ。私にボコボコにされてから見せ物になるかぁ、私にボコボコにされてから副長室行きかどっちもか。どっちがいーいぃ?」
「ぎゃー!ごめんなさぁーい!」
藤堂の叫び声が屯所中に響き渡ったとか渡らなかったとか……
「壬生狼よ。」「そうねぇ。早く出て行ってくれないかしら。」「見て。女の子がいるわよ。」「女の手を借りなきゃいけないほどなの?」
そんな噂が聞こえて来ると、多分空色って言うんだろうけれど、そんな色に山形のギザギザがある着物を羽織った人達が歩いていて、先頭には癖っ毛のある色素の薄い髪を肩まで伸ばし、緩く結んだ女の子が歩いていた。でもその瞳には光が宿っていなくて、少し怖く感じた。すると、その少女の隣にいた男の人が、
「オラァ!お前ら誰がこの京の治安を守っていると思ってるんだ!」
そう切れていて、少し怖かった。でも
「まぁまぁ。皆さんすいませんね。ほら。裕貴さんもそんなに怒ってたら逆効果です。」
そう宥められていたから解決したのかな?
「……?あれ。黒猫君だ。どうしたの?君。こんな怖い大人見てたらいつか殺されちゃうよ。早くお家帰りなね。」
見てたのバレた?!何者?!結構こっそりだったんだけど。それと君じゃなくてちゃんだよ……
それからしばらくして、町を歩いてたら看板を見つけた。
"京都守護職会津藩御預新選組壬生屯所"
なんて書いてあるんだろ。読めないなぁ……入ってみよっかな。
始めはそんな軽い気持ちだった。あんなことになるとも知らずに。
すると、大人達の声が響き渡った。
「沖田先生ー!沖田先生はおられませぬかぁー!!」
「沖田先生なら先程巡察からお帰りになられたばかりだし、いつもの縁側じゃねー?」
そんな大きな声にびっくりしていると、茂みからさっきの女の子が出て来た。
「……シーっ!君、こんなとこ来ちゃダメだよ。怖い大人達がいっぱいいるからねぇ。……あんなに叫ばなくても探せば見つかるのに。まぁ、私は絶対見つかりませんけどねぇ。あんな子供騙しに引っかかるものですか。」
分からないけど、多分この人が"沖田先生"って人なのかな?
「にゃー!」
「ちょ!」
試しにそう言ってみたらその人凄い速さで走ってっちゃった。
「なんだ猫かよ〜。沖田先生どこだよ……」
それからしばらくして、とある縁側にて
「……!さっきの猫だ。お家帰らないの?ここはねぇ、猫が1匹で来るような場所じゃないんだよ。命が惜しければ帰りな。」
そんなこと言われても帰れないよ。家ないもん。
「……帰らないんだ。へぇー。なら、刀の錆になっても文句言えないよね……?」
え。
「………。なぁんて。嘘だよ。こんな可愛い小動物を斬るわけないじゃん。土方さんじゃあるまいし。……それにしても泥だらけだね。洗って上げる。……刀抜いても帰らないってことは、何かワケありなんだ。……近藤先生に頼んで飼えないかなぁ。あ!とりあえず、洗ってあげる。」
と、そんなこんなで、私は洗われることになり、それからしばらくして。
「……さてと。あとは近藤先生に頼んで何とかしないとね。」
近藤先生?どんな人なんだろ。
「近藤先生。入りますよ。」
『ああ。』
第一印象は大きくて朗らかな人。
「実はその、お願いがあって……」
「珍しいな!なんだ?」
「その、この子を屯所で飼えないかなって。」
「……黒猫か。うむ。可愛いな!よし!最後まで面倒見るならいいぞ!」
「ホントですか?!やったぁ!」
「でも、どうして俺なんだ?」
「そりゃ近藤先生は局長ですし、あと、うるさい人が居るし話が長くなる人が居るし……ってことで、何か頼む時は近藤先生が適任なんです!」
なんかよく分からないけど、ここで暮らせるようになった?みたい。そして、その人に連れられ1つの部屋の中に入った。
「鈴付けてあげないとね。こうして、こう!よし。似合ってる!」
「にゃー。」
なにこれ。
「うんうん。喜んでる喜んでる!」
「……にゃー?」
「えーっと、名前……六花、とか?」
私に名前が出来た。
「あ、それと私、沖田総司っていうの!よろしくね!」
こうして私は、沖田総司の飼い猫になったのであった。
それからしばらくして、夜。
「…すやぁ……」
「……にゃー……」
眠っていると、
「うわ!なにこれ平和かよ!」
「そうっスよね。我らが特攻隊女隊長がこんなでいいんスかね?」
「つか、猫と添い寝って……あの総司が?」
「沖田先輩ってどんな風に思われてるんスか……」
「イタズラしてやる?」
何やら声が聞こえて来て、墨の着いた筆を持った男の人が近づいて来た。
「……すやぁ……」
「気持ちよさそうに寝てんな。」
「……っ!」
「やべっ!」
えぇ……なにこれ……仕返しに遭ってる。
「……ふぅん?へいすけぇ。なぁにしてるのかなぁ?」
「俺無実!俺無実だってぇー!」
「あ、沖田先輩。藤堂先輩現行犯っスよ〜!イタズラしてやる?って言ってましたっス〜!」
「ふーん?へいすけぇ。私にボコボコにされてから見せ物になるかぁ、私にボコボコにされてから副長室行きかどっちもか。どっちがいーいぃ?」
「ぎゃー!ごめんなさぁーい!」
藤堂の叫び声が屯所中に響き渡ったとか渡らなかったとか……


