双子の妹はカエルのお姫様①



部屋着に着替えて、思いっきり伸びをした。
なんだか一日の疲労が一気に沸いて出てきたようだ。


本当に疲れる、敬語。
じつは私、外ではほぼ敬語で通っている。


学園内はもちろん、お母さん、鈴蘭にも敬語。

それに加えて、生意気というか人に余り好かれない発言やら性格で振舞っているせいなのか。部屋に戻ったときの気の抜けようが、それはもう半端なく襲ってくる。


どうして自分は、敬語キャラで通していたんだろう。腕を組んでふと考えてみる。


ああ、そうだ。たしか……取りあえず敬語なら差し当たりなく礼儀も弁えられるとかそんなところだった気がする。

もしくは、他人が踏み入ってこないように線を引いた結果なのかもしれない。


「……まぁいいや」


考えることを放棄して、私は机に腰を下ろした。

机上には紙の束が山のように置かれていて、指で突ついたら崩れ落ちてしまいそうだ。


この量なら一時間?
そのくらいで仕上げられそうかな。


私は山積みタワーを崩れ落ちない程度に分けて小さな束にしていった。

いくらか分け終わり、もう一度前髪をしっかり固定して、軽く拳に力を込める。


「さ、始めますか」


パソコンを立ち上げ、かたかたとテンポ良くキーボードを打つ。

株価の確認、多数の取引企業、グラフ。それらをデータに起こして一つ一つ、確実に作り上げなければならない。


失敗、入力ミスは許されない。正確に打ち込まないと後に困るのは自分だ。

これは根気のいる作業ではあるけど、会社の大事な資料になる。

ペーパーレスの時代だとか言われているけれど、結局こういう地道な入力の際はまず紙データが必要になることが多いので考えものだ。


「よっ、と」


パソコン一つじゃ足りなくなって、私は引き出しからもう一つ同じものを取り出した。

画面二つ、キーボード二つ。
作業効率アップの為、キーボード二面打ち。

左手で左のキーボード、右手で右のキーボードにそれぞれ文字を打ち込んだ。

カタカタカタ、カタカタカタ。
それだけが、私の室内に響いて広がった。