メイドさんはメイドさんたちで、私とどんなふうに接していいのかわからないんだろう。
だから、そこまで気にしていなかった。りっちゃんみたいな可愛い子がひとりいるだけで、十分癒されるもんね。
「あ、えとっ……つぼみお嬢様もお疲れ様でございます!」
いまだあせあせと頭を上下させるりっちゃんに、私はくすっと笑ってしまった。
もうりっちゃん可愛い!
口には出せないけど、心の中で絶賛中だ。
「それでは、また」
そんなりっちゃんに言葉をかけて、私はまた廊下を進んでいく。
窓の外から見える景色は、大きな噴水が中央に置かれ、一定の長さに整備された青々しい芝生が映える庭園。
天気も良いし、時間が余ったらコタツと庭で遊ぼうかなぁ。
コタツとは私が飼っているボーダーコリーの犬のことで、海外に住んでいたときに一時預かって、そのまま引き取った犬である。
名前の由来は、冬の寒い時期にこたつが恋しくなって、代わりにコタツを抱いていたらぬくぬくとこたつみたいに暖かかったから、コタツにした。
ちなみにコタツの名前を決めたのは、飼い始めてから二週間後のことで、ずっと「わんこ」とか「わんちゃん」とかで呼んでいた気がする。
そんな私の大切な愛犬のコタツ。首に巻いた赤いバンダナがチャームポイントだ。
ああ、早くコタツの艶々な毛を撫で回したい。
それからそれから、もふっと顔を埋めて……。
「……あら、帰って来ていたの」
ぼーっと窓の外を眺めていた私の耳に、冷んやりとした声音が届いた。
「お母さん……」
振り返り、その人の姿を確認する。



