放課後になった。
構内には放課後を告げるクラシック音楽が流れていた。
お金持ちな白蘭学園には、さまざまな部活動が設立されている。
サッカーやバスケなどの定番な運動部から、茶道、花道、書道といった伝統ある文化部など。
ほかにも馬術や弓道、専用の厨房とプロの料理人が講師として招かれる料理部なんてものも存在するそうだ。
部活に入っていなくても、学園内の図書館を利用したり、カフェテラスで友人たちとお茶を楽しむ生徒も多い。
そんな私はというと、高等部に入ってはや一ヶ月。
クラスの友達はひとりもいません。
なので放課後はまっすぐ帰るしかない……!
とても寂しい学園生活を送っている花の女子高生とはまさに私のことですよ。
教室を出て足を進めるのは、多くの高級車が停められた停留場。
するとちょうどピッタリと私の目の前に一台の車が止まった。
「お帰りなさいませ、つぼみお嬢様」
「鈴木さん、いつもありがとうございます」
運転席を降りて目の前の扉を開けてくれたのは、零条士家に仕える執事の鈴木さんだ。
彼は四十過ぎには絶対に見えない若い顔立ちの男性で、ハウススチュワードでもある。
私は後部座席に乗り込み、鈴木さんはふたたび運転手席に座った。
朝は専属の運転手が送ってくれるんだけど、放課後は部活に入ってない私のために、鈴木さんが早めに迎えに来てくれていた。
ちなみに鈴蘭は、生徒会のお手伝いだと聞いている。
「それでは、出発いたします」
鈴木さんの言葉を聞き、私はバックミラー越しの彼に軽く頭を下げた。



