双子の妹はカエルのお姫様①



「……鈴木さん?」


庭へ出ようと玄関ホールに向かっていた途中、私は車の鍵を手に持った鈴木さんと鉢合わせした。

急いでいたようにも見えたが、彼は私を前にするとゆったりと微笑みを浮かべて礼を取る。


「これから鈴蘭お嬢様をお迎えに上がろうと」

「運台さんはどうしたんですか?」


運台さんとは、私と鈴蘭の送迎を任されている専属の運転手だ。

私は部活に入ってないため、帰りは鈴木さんが来てくれているけれど、鈴蘭を迎えに行く時間帯は運台さんの担当になっている。



「運台は風邪の傾向があると連絡を受けまして、その間はすべて私が送り迎えを担当することになりました」

「そうでしたか……」


運台さん、朝はそんな素振り見せなかったのに大丈夫なのかな。

きっと私や鈴蘭に風邪を移すわけにもいかず、鈴木さんに送迎を頼んだのだろう。


「つぼみお嬢様は、どちらに向かわれる途中で?」

「私はコタツのところに行こうと思いまして」

「コタツならひとりで遊び疲れて、手入れをしている木村さんの近くで寝転がっていますよ」


鈴木さんはそう言って、くすりと笑った。

遊ぼうかと思っていたけれど、寝ているなら止めておこうかな。


「あ……」


部屋に戻ろうかと考えていたとき、ちょうど学園に忘れ物をしたことに気がついた。


……最悪っ、手帳を忘れてた!
そういえばロッカーの中にしまいっぱなしだったんだ。



「あの、鈴木さん。すみませんが学園に忘れ物をしてしまったので、私も一緒に行ってもいいですか?」

「ええ、かしこまりました」



鈴木さんは顔をきょとんとさせたあと、すぐ笑顔に戻っていた。


「それでは、こちらで少々お待ちください」



玄関を出たあと、鈴木さんはガレージのほうへ歩いて行った。