【完結保証】シェアルームには私を振ったアイツがいる

 気まずい気持ちを抱えたまま、翌朝を迎えた。

 大学は休みで、朝からキッチンでサンドイッチを作る。「おはよう」といって清水くんは私の後ろを通り冷蔵庫を開けた。

「昨日は変なことを聞いてごめん」

 突然の清水くんからの謝罪に、私は包丁の手を止める。
 どういえばいいかわからず、私は首を振った。

「いいんです。実はちょっと環境に慣れてなくて、ただ、それだけなんで、あまり気にしないでくれれば」
「そっか。それなら……料理も、教えるの無理しなくていいから」

 ――違う、そうじゃなくて。
 そうやって逃げ続けるのは解決じゃなくて。
 これからも、逃げ続けるのなら、私はここにいる意味はなくて。

 どうにも上手く伝えられないもどかしさが込み上げる。
 踵を返し、去っていこうとする清水くんの服の袖を私は思い切り掴んだ。

「ごめんなさい、清水くん。違うんです、その……」

驚いた顔で清水くんは私の顔を覗き込んできたので、恥ずかしくなり少し視線を落としながら、首を振った。

「……事情を、聞いてくれますか」