【完結保証】シェアルームには私を振ったアイツがいる

 人間は忘れる生き物なのだから、きっと失恋だけに限らず今回の件も忘れられるはず。こほんこほんと空咳をして、私は廊下を進みながらバチンと両頬を叩き気合を入れる。

 清水くんの部屋のドアを叩き、ガチャリと出た彼くんに速攻で「片付けずに逃げてごめんなさい」と頭を下げながら正直に謝った。
 
「俺も、ごめん。ちょっと混乱してて」

 時間を置いて、それぞれが落ち着いたように冷静に対応できている。
 沈黙の後に、私は意を決して口を開いた。

「それで、もしこれから時間があれば――」

 ちらり、と清水くんを見やる。 

「材料がたくさんあるので、料理をしませんか? これから」