「さあ、それでは皆さん!オークションスタートです!」

「105万ルー!」
「110!」
「150万!」



エラのオークションが始まる。
ここにいる貴族たちは皆、彼女に邪な目を向け、いくらで彼女を買うか争っている。

僕から身を隠している間にこんな視線に何度彼女は晒されたのだろうか。
やはりもう彼女は僕が匿うしかないだろう。
それが1番だ。



「1200!」
「1250!」
「1300!」



どんどん彼女の値は上がっていく。
エラに値段など付けられないが、もし僕が彼女を手に入れられるのならまずは…



「1億ルー」



僕は自分の札を上げてエラに相応しい数字を言う。
これは最初の数字に過ぎない。ここからいくらでも出そう。
会場が先ほどの熱は嘘だったかのように静まり返る。
そして僕の提示した金額にざわざわと騒がしくなり始めた。

檻の中からルビーの瞳がこちらを見つめている。
その顔には驚きの色が見えた。

ああ、やっとルビーのその美しい瞳が僕を捉えてくれた。