「ノア様」



エラが辛そうな声で僕の名前を呼ぶ。



「ん?どうしたの?」



彼女の言葉は一言だって聞き漏らしたくない。
僕は平静を装って優しげにエラに笑った。



「愛しています、心から」



泣きそうな顔でエラが微笑む。
その言葉が、その仕草が、その表情が僕の心を支配した。
今すぐにでもやっぱり彼女を囲ってしまうべきだ。
こんなにも愛おしい存在と離れるべきではない。



「…はは、嬉しいな。僕もエラを心から愛しているよ」



高鳴る鼓動を抑えて僕は彼女がいつも見てきた僕のように余裕のある優しげな笑みを浮かべた。
そしてエラはそんな僕の頬に初めて自分から口付けをした。