なんとなく目をそらしたらいけないと思い、ゆっくりと鞄に伸ばした手を引っ込めていく。
すると、
「お前──」
「な、なんすかっ」
男の子はどんどんこちらに近付いてきて、私の前にしゃがんだ。
な、なんだ……
「や、やんのか……やれるもんならやってみろって感じだっての」
とか言って虚勢をはってみるけど、地味にこわい。
座りながら、威嚇にもならなそうなファイティングポーズを取れば、男の子は目を細めた。
「お前、俺がカツアゲ野郎だと思ってんな?」
「え……違うの?」
見た目はばっちり不良くんにしか見えない。
「ふざけんな、あんな低レベルな連中と同じにしてんじゃねぇーよ」
「だって」
「だってなんだよ」
「見た目が仲間っぽい」



