不良くんが拳を握った時、私は肩から鞄を下げ、取っ手を両手で強く握りしめスタンバイ。
──これで、ノックアウトさせてやる!
「オラぁ!」
不良くんの拳が目前に迫り、動体視力任せで、すんでのところでかわすと、私は下から上へと鞄を振り上げた。
「食らえっ!!」
「……ぶっ!?」
私の鞄が片側の頬にクリーンヒットしたと同時に、もう片方からローファーが不良くんの顔にめり込んだ。
──!?
……のを見たはいい──だけど、そのローファーの主の力が強く……すんなりパワー負けし、私たちは同時にバランスを崩した。
「……痛った、うわっ」
私が尻餅をついた瞬間、不良くんが地面に倒れてきて、つい後ずさる。
──びっくりした……
どうやら気絶してるみたいだけど、これは大丈夫なの?
しかも顔に靴跡くっきりついている。
「あ、鞄……っ!?」
倒れた不良くんの後ろにある鞄に手を伸ばしかけたところで、この男の子を気絶させたローファーの男の子と目があった。
これは──なんだかまずい展開?



