らしくしよ、恋ってやつを


いかつい歩き方で高架下まで行き、


「ちょっと!やめたらどうなの?」
「……あ?」


私が声をかけると、青ざめかけていた眼鏡優等生の顔がわずかに安堵へと変わった。
幸いにも相手は一人で、うまいこと逃げればやり過ごすことが出来そう。


「……おお、おお、その制服いいとこの学校じゃねぇの」
「だから?」
「ちょーっと遊びたいんだけどさ」


不良くんが完全に私に向いたその時、私は眼鏡の子に『今!』と目配せをした。
それに気付き、男の子は頭を下げて走っていく。
その足音に不良くんは後ろを確認するも、最初のターゲットはもう居ない。

だから、怒りはこの状況を作った私に向けられることとなる。


「てめえ、どうしてくれんだよ。オレは女とか気にしないんだわ。あんな男を助けて悦に浸りたかったのか知らねぇが……どうなるか分かってんだろうな!」


顔を歪ませ砂利を蹴り、突進してくる不良くん。

当たり前だけど、私は喧嘩とかしたことないしこういう場合、逃げる方が断然いいんだろうなとは思う。
でもこの手のタイプからただ逃げるのはなんだか……癪だな。
名門を狙うならいっそその名門にやられれば、少しはこりるはず。

……これといった勝算はないけど。