来月に向けてクレーンゲームのシュミレーションをしながら歩いていれば、
その途中、少し柄の悪そうな男の子と、眼鏡の優等生っぽい男の子が高架下で話しているのが遠くに見えた。
正反対な組み合わせに違和感を覚え、目を凝らせば、明らかに眼鏡の子が怯えていて……
あれって……さっきの話で出た不良?なわけ──
あ、眼鏡の子鞄取られた。
これは確定だな。
──通り道、ってわけじゃないけど、おりればいいことだし、見ざるせず行った方がいいかな。
そう思い高架下の方へ足を向けるも、
『もし見かけてもむやみに近付かず、その場から離れるように。いいですね』
先生の言葉が過る。
近付くなって言われたし、ここは眼鏡くんには悪いけど、やはり見ざるだ。
緩めた足をまた早め歩き出せば、高架下で絡まれていた男の子は見えなくなるわけで。
この後、あの男の子がいい思いをすることは全くない、はず。
……そう分かっていて、見て見ぬふりをするのはいかがなものか。
足を止め、行け行くなという数秒の葛藤ののち、
「……あー、もう!」
軽く地団駄を踏み、私は道を引き返した。



