らしくしよ、恋ってやつを


「……見ての通り、僕たちは同じ学校に通う友ですよ。旅館の方では代々長いお付き合いがありますから、一緒に話す機会も居るところも多々あるのは否定致しませんが」

質問に臆することなく、淡々と話す貴公子だけど、記者として培った目はその答えだけでは満足しないようで。その目の奥を光らせた。

「なんでも、次期女将へ華道の特別な指導をされているともお聞きしましたがそれは?」

やたら"特別"というワードを強調された気がしなくもない言われ方に聞こえた。
だけど、貴公子は冷静そのもの。

「ええ、間違いはありません。次期、女将ですからね。それに向けて鼓と女将の同意のもと、僕が担当させて頂いております」
「……ほう、それで会うことや話す機会が増え、恋愛の方に発展した、と」

どうしてもその落ちにしたいのだろう。
その方がネタとしては美味しいもの。

「……そう見えることもあるでしょうね。でも僕らは──」
「椿冴」

後ろから貴公子の言葉を遮ったのは、鼓さんだった。

「貴方は中へ戻りなさい」

いつもの柔らかい雰囲気ではなく、鼓さんは厳しい顔つきで記者を見つめている。


「……行くぞ」
「あ、うん」

私は貴公子に手を引かれ、中へと戻った。

その後、鼓さんがあの記者の相手をしてくれたのは間違いない……でも、私たちのことは単なる噂話に過ぎないけど、記者が来るってことは、今日だけではなくきっと次も同じことが起きる。
このまま私が教室に通い続けていたら、尚更。
だとしたら私は──