らしくしよ、恋ってやつを


──私が鼓さんの教室に通いはじめて……とはいっても、貴公子とのマンツーマンのレッスン。

皆森旅館の次期女将と華道界の貴公子。
私たちのことを見て、勝手に結びつけるような噂がたてられているのは薄々気付いていたけれど……

「本当お似合いよね」
「将来を見据えたお付き合いをされてるのかしら」

飛躍しすぎていて、否定することも出来ず。
それは貴公子もよほど鈍感でなければ、気付いていると思うけど、少々気まずい──

教室の後、少しこのことを相談しようと、二人で外に出た。
ベンチに座る貴公子のそばに行き、私は座ることなく尋ねる。


「……ねぇ貴公子」
「あ?」
「なんだか、最近……さ」
「……ああ。言いたいことはわかる。俺も普段から生徒さんたちにこそこそ言われたりしてっからな」

やっぱり。
言わずともわかるほど、耳にしているってことだ。けど頻繁に耳にするようになれば、慣れて気にせず受け流せるようになるってことかな。
いちいち気にしてたら大変だし。

……でも、本当ここ最近になって、旅館でも同じような噂話が流れていることが、非常に気になっている。

「よくも悪くも、噂話ってもんは膨らむも──」
「え?」

貴公子が急に立ち上がり、私を背中に隠した。