らしくしよ、恋ってやつを


──爽やかな笑顔で頷いた貴公子を連れ、裏の我が家へ。
何の変哲もないごく普通の一軒家。
普段あまり人を呼ばないんだけど……お母さんがあんなこと言うから。

「表からは全然見えねぇのなこの家」
「あえてよ、あえて。リビング着いたら適当に座──」
「お前の部屋どこ」

キョロキョロとしだす貴公子に、地味に警戒心が生まれる。

「入れるわけないでしょ」
「いいじゃんかよ。減るもんじゃねぇんだから」
「断る」
「ふうん、まさかと思うがヤバイほど散らかってる、とか?」
「違いますが?って、あ!階段のぼるな!」

私がよそ見した隙に階段走ってのぼっていく貴公子。追いかけるも、着物じゃ不利だった。


──帯苦し……