──長話をしたと貴公子は旅館まで送っていくと言い出し、断ったのだけど無意味だった。 「なんかどうも……」 旅館に着き、貴公子に頭を下げれば、 「ああ」 短い返事が返ってきて、すぐに背を向けるとそのまま帰っていった。 さっきまであんだけ話したのに、そっけな。……私も人のこと言えないけど。 「まあいいか。中入ろっと」