「わからないよ、私に花のよさは」
「……んだよ、多少なりとも何かしら感想くらいあんだろ?」
感想──
「あ、でも……貴公子の花は綺麗だと思うよ」
「は?俺?」
俺のことは聞いてないって言いたいのは分かる。でも感想くらいって言われたから、最近思っていたことを私は口にした。
「今まで、ロビーを彩っていた鼓さんのお花は綺麗なのは分かってるけど……あそこに花があるのが当たり前って感じで、実際まじまじと見たりすることはなかったの」
「……それで?」
「でも、貴公子の花は……なんかこう、オーラが見えるっていうのかな」
「オーラ?」
「テーマとかはわからないけど、あったかい感じがするな、今回は優しい感じかな?涼しい感じかな?って。だから、当たり前にあった花に目がいくようになった」
いつの間にか、旅館に花を生けに来た貴公子の出迎えをする担当みたいになって、その姿を近くで見るようになったから感じるようになったのかは、私にもわからないけど。



