らしくしよ、恋ってやつを


私は学校で自分をつくり、旅館でもつくっている。
素なのは本当、杏奈や貴公子、お母さんといる時だけとかだから。
でもそれは貴公子も似たようなもので、今は素、華道の時は爽やかさをつくっている。

そこがお互いに、似ている……ってこと。


「ずっと、旅館や学校でもおしとやかでいたわけ?」
「子供の時は、そんなの考えてないし、むじゃきにしてたけど……中学に入ってから、男勝りになったというか、強くなったというのか。はたまた反抗期のせいか、こうなった」


貴公子は?と尋ねれば、


「俺は……華道をはじめてすぐの頃だな。だからほんと、五歳とか」
「五歳……」
「考えてやっても、雑にしても、大人の声は嘘の褒め言葉で。同い年の友達から、意味わかんねぇ、何でここにこの花なの?なんて聞かれた方が何倍も増しだった」

だから、嘘の言葉を受け入れるための、自分をつくった、と。

「……なーんて、暗い話はお前の華道だけでいいわな」
「は!?それどういう意味!?」


お互いに明るくない空気になったところで、切りかえるのはいい。

だけど、こういう嫌味なとこは一体なんなんだ──!!